前のトピックでうつは「甘え」ではないかと心理的な側面から考えてみた。
ちょっと精神論になりすぎた感じがするので、もう少し違った側面から見てみる。
うつとは脳の異常状態である。
病理学的にはセロトニン仮説などいろいろあるが、とにかく脳内物質の異常状態が、うつの本質である。
主流となる考え方では、ドーパミン、セロトニンなどの感情、意欲などに関係する脳内物質の不足が、うつ特有の気分の落ち込み、閉塞感などにつながっているといわれる。
こういった物理的、身体的状況がうつの病理の本質であり、単純に心理的、精神論的な考え(いわゆる気の持ちよう)では、うつ状態は解消しない。
そのための薬物治療であり、また静養と規則正しい生活による自然治癒力の回復が重要になるのである。
私は本来の病気としてのうつについては、上記の病理が本質であり、当てはまると思っている。
しかし、現代の多様化したうつの諸症状、そしてさらに回復して社会復帰するにあたっての複雑な過程にあたっては、単純に脳の異常を解消するだけでは、解決しない問題も多々あるのではないかと考えている。
特にうつ状態を引き起こしやすい感じ方や考え方には特定の傾向や気質があると思われ、その背景には「甘え」があるのではないかと思っている。
またうつ状態から回復して社会復帰するに当たって、本人が直面する諸問題の解決に当たっては、心理的に自分をコントロールすることが重要であり、そのために客観的な視点に立って自分の感情、思考を俯瞰することが必要になる。
自分がなにに幸せ、満足を感じるか、また逆になにに不満、不幸を感じるかを、把握して、周囲の状況から引き起こされる自分の感情、思考がどう動くか予測することで、過剰な心情の起伏を抑制しつつ、適度に欲求を発散していくことが大切である。
そのための方法論として、自己の「甘え」の感情をコントロールすることが重要でないかと思っている。