「ドラゴン桜」 第1巻~第11巻 三田紀房
ドラマもテーマも面白い。
一番の売りは、主人公・桜木が、甘い戯言を実践的な主張で喝破していくところだろう。
また生徒たちのキャラにも共感でき、成長過程での壁とそれを乗り越える姿も納得できる。
とにかく読んでいて非常にカタルシスがある。
大人たちが表立って語らない世の中の仕組みをはっきりと示していくところが痛快である。
世間はシビアで厳しいのだ。
上辺だけのごまかしやぬるいことではやっていけない。
勤勉さがすべての基盤で、真面目にやらないと結果なんかでない。
結果が出ないと誰も評価しない。
自由競争原理で社会が動いていることを正面から暴いている。
その上で、競争に勝つ=自己に克つことの価値を示している。
いろいろな勉強のテクニックも多く興味深い。
単なる学習法ではなく、人間の好奇心や探究心、学問の美しさが根底にあるのが素晴らしい。
いろんなことを理解するということがどういうことか、上手く表現されている。
”エウレカ”といって天啓がなければ物事わからないわけではないのだ。
肝心なのはパターン認識であり、必要なのは反復と暗記である。
だから脳の働きのトレーニングには、しっかりとした生活リズムをベースとした勉強体力が重要という説明には説得力がある。
ただ世の中を変えるバイブルみたいに扱われるのは引いてしまう。
そういう使われ方をされるのは作品の特徴上仕方ないのかもしれないが、本編に変な影響を与えないか気がかりである。